外国籍社員を”外国人扱い”しない。

株式会社ゴーリスト社長インタビュー

大野:加藤さんがそもそもゴーリスト (現在の会社)を立ち上げたきっかけは何ですか?

加藤氏: もともと親族がみんな自営業でして。なので昔からサラリーマンはしないだろうなと思っていたんです。でもやるからには成功したいと思っていたので、「20代で社長、年収1,000万」という目標をとりあえず決めたんですね。結果、27歳で当時勤めていた会社でグループ会社を任されまして、社長業を3年ほど経験させてもらいました。
そこから興味があったITとデザインを重視したビジネスがしたい、と思い起業を決めました。

大野:お笑い芸人を諦めて、ですよね?(笑)

加藤氏:いや、そもそもなってないです。(笑)確かに、学生時代に活動はしていました。ただ大学で仲良くなった、今は某有名芸人と自分を比較した時に、「彼を超えることは無理」だと思いました。そこで芸人を目指すのをやめて、経営者になる道を選んだわけです。

1カ国10人、5カ国50人の会社にする!

大野:そうなんですね。起業した当初は、戦略的な人材採用プランは立てていたのですか?

加藤氏:「1カ国10人、5カ国50人の会社にする!」というビジョンを掲げており、当社採用ページにそのように記載していました。オフィスに世界地図を貼って、採用した人の国に押しピンを付けていたのですが、「東京」に付けただけでお終いでしたね。(笑)

大野:そうなんですね。(笑)

加藤氏:起業当初より海外人材採用のビジョンを持っていたのは、ある書籍が影響しています。『ニューヨーク流たった5人の大きな会社』という本です。これを読んだとき、「ニューヨークで働く日本人ってカッコ良いな!」と思ったんです。

例えばですが、友人から飲みの誘いがあったとき、「ごめん!俺今マンハッタンにおるわ」って言いたかったんですよね。めちゃめちゃカッコ良くないですか?(笑)昔から、海外というキーワードは自分の中では外せないものなんです。

大野:最初の外国籍メンバー採用は2017年とお聞きしました。

加藤氏:はい。ヨルダンとベトナム国籍のメンバーをそれぞれ1名雇いました。

大野:外国籍人材のファーストステップである「採用」について、どのように対応されたのですか?

加藤氏:シンプルに人材紹介会社にお願いしました。未知なる領域へ挑戦するときは、高い料金を払ってもその道のプロにお任せして色々教えてもらうことが重要だと思っていたからです。

未知なる領域外国籍人材採用はプロに任せるのが一番!

大野:ありがとうございます!(外国籍人材紹介の弊社としては)その言葉を待っていました!

加藤氏:仕込み通りですね。(笑)

大野:本当に。(笑)(本当は仕込みゼロです!)

加藤氏:私自身10年ほど人材業界にいたのですが、ゴーリストはそれまで人材紹介や求人広告は使わずにリファラル採用などで採用してきました。そして今後も使わない、と社内のメンバーに言っていたんですね。にもかかわらず、私が「外国籍採用において人材紹介会社を利用する」と言ったときは、役員全員が驚いたことを覚えています。

そんな風に、当初の意見を変えてまで人材紹介に頼るのにこだわった理由は、「外国籍人材」の採用について、右も左もよく分からなかったからです。

例えば、外国籍人材を採用するときに「履歴書は英語でくるのか?」「面接は英語で行うのか?」「社内のメンバーで英語が話せるのは誰なのか?」など、社内でもどういう対応をおこなえばいいのか当初は分かっていませんでした。

なので「欲しい人材が獲得できる」ことに加えて「ノウハウそのものを蓄積できる」ならば、人材紹介サービスを利用するのは決して高くないと考えました。実際に、外国籍人材の採用をはじめて2~3年は外部人材紹介サービスを利用していました。

大野:そのようにして外国籍採用のノウハウを自社で蓄積されていったのですね。ノウハウを貯めた後、現在はどのように採用活動をされているのですか?

加藤氏:弊社の外国籍人材に特化したサービス「jopus」「jopus career」などを通じて、優秀な外国籍人材が集まっているので、そこから自社採用へつなげています。
各所のプロに採用をアウトソースすることで、ノウハウが自社の資産として蓄積されていく。それが自社オリジナルの採用方法と戦略となっていきます。そう考えると最初に人材紹介会社に払うコストはむしろ安いと考えています。

外国籍メンバーに対して「外国人扱いしない」ことを一番大切にしている

大野:ところで、ゴーリストには現在合計9名の外国籍メンバーの方が在職されています。受入段階で何か工夫していることはありますか?

加藤氏:外国籍メンバーだからといって「外国人扱いしない」ことを常日頃心がけています。外国人だから、という理由で腫れ物に触る対応をするのは一番良くないことです。わからないからこれやらせるのはやめよう、という対応はしないようにしています。
また、「〇〇人」という表現自体あまり好きではないです。一人ひとりの国籍抜きに、フラットに接することが大切だと思っています。

大野:おっしゃる通りですね。一人ひとり個性がありますからね。

加藤氏:そうですね。その人の持つ個性や特徴、それを見抜き見出し引き出していくことこそが外国籍メンバー採用において、キーとなります。

もちろん、それ以外に気をつけることはあります。
弊社が最初に雇ったヨルダン国籍の元メンバーは、宗教上の理由でお祈りを一日に5回しなくてはいけなかったので、お祈りのための部屋を確保するなどの対応がありました。また、日本語ネイティブではない彼らとのコミュニケーションについては、「日本語もシンプルな表現を心がける」「知り得る英単語を使う」などケースバイケースで対応する柔軟性も必要です。

ルールはFace to Faceで伝える

大野:外国籍メンバーの方に対する企業ルールの対応についてはどうしていますか?例えば、時間を守るといったことですとか。

加藤氏:弊社は時間を守る、という企業ルールがあります。また守ることもさることながら、ビジネスのプロとして、会議スタート時間ぎりぎりに来るような姿を見ると、内心「肩あっためてきてや〜〜〜」って思ったりします。
なので、遅刻や時間ぎりぎりの行動については、日本の商習慣としてNGであることを対面で説明し、理解するまで話します。「会社のルール」だから、という理由での説明は一切しません。その行動があなたの不利益、また待たせる相手への不利益になること、それが日本でビジネスをするときには大切なんだということをしっかりと理解し、次回からはきちんと行動が取れるよう対話を持つことを心がけています。

大野:ちなみに、遅刻するメンバーにはどのように対応していますか?

加藤氏:無言です。無言の圧をかけています。(笑)

というのは冗談ですが、やはり「こういう理由で○○分ほど遅れます」など、事前報告をするように伝えています。遅刻する理由と事前に報告をすることは絶対に徹底してほしいです。

大野
:それに関連して、何か面白エピソードはあります?

加藤氏:弊社は勤怠に関する連絡にはチャットシステムを利用しています。そのチャット内である外国籍のメンバーが遅刻の事前報告をしてきたのです。以前は報告もなかったため。それを見て「あ、成長したな〜」と思ったのです。
ただ、その報告内容がイケてなかった!
「ビジネスシューズで走ったため足が痛いから遅れます」ですよ!電車遅延で遅れます、の類でもないわけです。(笑)「じゃあしょうがないね、とはならないよね?」ということで到着早々、靴のサイズを見せるよう言いました。(笑)

”やりたいことをやってもらう”それこそが活躍の一手となる

大野:入社した外国籍メンバーに活躍してもらうには何が必要ですか?

加藤氏:「やりたいことをやってもらう」これにつきます。
突飛なことももちろんウェルカムですが、弊社の既存事業からの延長線上で、やりたいことをやれる状況や環境を作ることが活躍推進には必要不可欠です。これは正直、外国籍メンバーだからとか関係なくメンバー全員に対して思っています。

就職観を表す言葉として、就職と就社という表現があります。

外国籍の方は、就職の傾向がある。この仕事、仕事の内容そのものが面白そうだから決めた。それがたまたまこの会社だったというパターン。一方、日本の方で多い傾向は就社。この会社だから仕事内容あまりこだわりなく決めるという傾向は少なからずあります。

大野:外国籍の方は、初めからやりたいことが明確な場合が多いでしょうか?

加藤氏:そうですね。異国の地で働くことから、潰しが利かないという意思が働くことも影響しているのではないでしょうか。もし私がニューヨークで働くとなれば、やはりこの先どうしていこうか、将来のことをより考えながら行動すると思います。

”お困りごと”を吸い上げる仕組みを作り運用する!

大野:その他に、活躍推進に必要なことはなんでしょうか?

加藤氏:外国籍のメンバーが困っていることや課題を吸い上げ解決することです。弊社の場合、「Tell me MTG」というミーティングを運営しています。

外国籍メンバーと人事総務、私を交えたミーティングを定期的に実施しています。「今困っていることは?」「解決したい課題ってなに?」という質問をぶつけ、その場でアイデアを出しながら解決できるよう努めています。

例えば先日、外国籍ITエンジニア同士のコミュニケーションを英語にしたわけです。その方が生産性・効率的だからという理由でそうしたわけですが、新たに問題が発生しました。「日中、英語しか使わないから日本語が薄れていく。だから、日本語を勉強したい」という提案がありました。

そのような視座の高い提案が出てくるのですごくいいなと思います。

大野
:Tell me MTGの仕組み、いいですね!

加藤氏:そうなんです。生活のちょっとしたことから仕事面までの困りごとを出させるための仕組みとして大変機能しています。

そのほかの仕組みとしては、「ごはんを一緒に食べる」ことも大変機能しています。一緒に美味しいものを食べることで、ぽろっと本音を聞けることも多いです。

先日もAIチームと食事したとき「機械学習が好きで仕方ない!」というエンジニアの話を聞くことができました。好きだから週末も自分で触ったりしているというので、であれば新規事業として立ち上げることが決まりました。トップダウンではないフラットな組織運営を継続するためにも、このような仕組みや取り組みをし続けることが大切だと考えています。


たった一人の外国籍メンバー加入でビジネス拡大が可能となる

大野
:外国籍人材採用の経営的なメリットはなんですか?

加藤氏: 「既存メンバーへのポジティブな影響」が大きいです。新卒メンバーが入社したとき既存メンバーへ与える影響と同じで、改めて気が引き締まる感覚があります。既存メンバーの内面に火をつけることができる、それがまずはメリットです。

また「ネイティブ言語を活用したビジネスの横展開」が可能となります。
昔は「太平洋ベルト」という概念でビジネスを展開するのが主流でした。(東京→大阪→福岡のように)

今は、たった一人のインド国籍メンバーの影響で「インド」へのビジネス展開も可能となったり、たった一人のベトナム国籍メンバーの影響で「ベトナム」へのビジネス展開が可能となったりするなど、いわゆるグローバル展開が可能となるのです。

大野:御社の場合、経営戦略として意図的にその国籍の方を選んだのですか?

加藤氏:正直たまたまです!(笑)当時は、ですね。
入社してくれたインド国籍メンバーがすごく優秀で、インドのパートナーと提携してくれたりしてくれるわけです。それを見て、少し戦略的に動き出した部分もあります。ベトナムメンバーがいるから、ベトナム支社を出そう、タイメンバーを採用してタイ支社を出そう、のようなプランですね。来年は韓国籍メンバーが入社予定です。そうすれば、アジアマーケットを抑える一手となるんです。

大野:素敵なメンバーの方々と共に、ですね!御社メンバーの方々はどんな感じの方々ですか?

加藤氏:一言で言うと「クセが強い」です。(笑)
ま、それは冗談として、基本いい人(ナイスパーソン)です。弊社メンバーは全員いい人です。性善説を信じているので、みんないい人だから採用しています。常に自然体で仕事ができる人を採用するようにしています。組織ではバランスだと思っていて、足が速い人もいれば遅い人もいる。様々な方がいることで化学反応が起きます。そのバランスを大切にして組織作りをしています。

外国籍メンバーとともに”新しい”を創出するを目指す!

大野:御社のCareer Fly(飛躍)を教えてください!

加藤氏:外国籍メンバー採用においては、やはり「5カ国、50人」!これを実現したいです。

ゴーリストとしては、ゴーリスト Globalを立ち上げ、英語を公用語とした会社を作っていきたいです。色んな国の方が入ってきてくれることで、「新しい人」「新しい場所」「新しいビジネス」、これらの新しいものをどんどん取り入れていくことで企業の発展があると考えます。

そして、多様なメンバーとともにアジアtoアジアのビジネス展開を実現していきたいです。

Career Fly代表大野理恵とゴーリスト代表加藤氏
株式会社ゴーリスト
代表取締役 加藤龍氏にインタビュー

株式会社セントメディアへ新卒第1期生として入社。新規事業、人材派遣・紹介事業に従事。2005年、グループ会社の代表に就任し、営業職に特化した人材紹介事業を展開。その後IT・Web領域の新規プロジェクトを複数立ち上げ、技術系ベンチャーの経営コンサルなどを経て2010年に退職。2011年、株式会社ゴーリストを創業。